
「7月なのに雪が残っている山がある」 そんな話を聞いても、正直なところ半信半疑でした ところが、月山八合目に着いて山を見上げた瞬間、その疑いは吹き飛びます
目の前には緑の斜面。その中を白い雪渓が何本も山頂へ向かって伸びています 「本当に7月なんだよな……。」 思わず、そんな言葉が口をついて出ました

花を楽しんでいたら、今度は雪の世界
歩き始めは夏山そのもの 足元には色とりどりの高山植物が咲き、心地よい風が吹いています
ところが30分ほど歩くと景色が一変します 目の前を真っ白な雪渓がふさぎます さっきまで夏だった景色が、一瞬で春に戻ったようでした
月山が「不思議な山」と言われる理由が、この瞬間によく分かります

軽アイゼンを持ってきて正解だった
雪渓には多くの登山者がいました。アイゼンを着ける人。そのまま慎重に歩く人。 私は軽アイゼンを装着しました。
歩いてみると安心感がまるで違います 滑るかもしれないという不安が減るだけで 景色を見る余裕まで生まれるんですね
「持ってきて良かった」 この日は素直にそう思いました

月山は景色が次々と変わる
雪渓を越えると、また世界が変わります。
今度は広い稜線。
青空。
流れる雲。
遠くまで続く東北の山並み。
何度も立ち止まって写真を撮りました。 でも、あとで見返すと、写真では伝わらない。
あの風の冷たさも、雪の匂いも、歩いている気持ちよさも。 これは実際に歩いた人だけが味わえる景色でした。

月山は一度では味わい尽くせない山
登山を終えて振り返ると、一番印象に残ったのは山頂ではありませんでした。
夏の花を見て。
雪の上を歩いて。
広い稜線を歩き。
また花を眺める。
一日の中で四季を歩いているような感覚。 こんな山はそう多くありません。 だから月山は、多くの登山者が何度も訪れるのでしょう。 私も、その一人になりそうです。
